帰って来てこの場所を通る度に、
「かっこいい」と思わずにやけてしまう。
美しさを説明するのは野暮だ。
対峙した時に感じる心の動きを噛みしめたい。
一番身近にあるアートが住宅だったら。
毎日、心を躍らせることができる。
帰ってくると好きなもので溢れている。
そんな家族のベース基地のような場所。
美と好日の平屋。
帰って来てこの場所を通る度に、
「かっこいい」と思わずにやけてしまう。
不規則な凹凸。
日の射し方で表情が変わるのが楽しい。
予測できない風景に豊かさを感じる。
玄関を入った瞬間に
「あっ」と言わせる空間にしたかった。
ミラーライトの灯りが満月のように妖しい。
光ではなく、陰を感じたかった。
格子をすり抜ける光線の伸び縮みが、
外の季節を教えてくれる。
寝落ちして後悔するまでがワンセット。
まどろみの中で見る映画が一番楽しい。
「今日何着ていこうか」と迷う時間が贅沢だ。
「いってきます」と振り返ると、
「早く帰って来よう」と元気が出る。
「美」をテーマに、造形を考えました。
躯体の前にある石壁は外見のためのものでもあり、
冬は熱を蓄える蓄熱体でもあります。
黄金律を念頭にデザインをしましたが、これは人間の設計によるものではなく、
自然の合理的な機能の中に美を発見したもの。
この住宅も用と美を備えるデザインを目指しました。
美しさは必ずしも計画されるものではなく、自然との共作でもあります。
朝昼晩、春夏秋冬の太陽の動きによって、違った表情を楽しめる。
日々が好日となる住宅となっていたら嬉しいです。
「美と好日の平屋」