目次 _ 気密性能
- 01_ 断熱性能・換気システムには気密性能が不可欠
- 02_ 気密性能が重要な理由
- 03_ 気密性能を生み出す施工技術力
- 04_ 第三者測定会社による全棟気密測定を実施
- 05_ 高性能な家は換気が大切
目次 _ 気密性能
隙間を少なくして熱損失を極めて小さく抑えた(家内外の空気の出入りを少なくした)のが高気密の家。その性能を数値で示したのがC値(=床面積1m2当たりの隙間面積)で、ゼロに近づくほど「高気密な住まい」となります。これまでの日本の目標は5.0(cm²/m²)ですが、高気密にこだわる樹の家こころ舎では、それをはるかに超えるC値0.5(cm²/m²)以下(日本の省エネルギー基準の10倍の気密性)を標準値として施工しています。気密性能が高い住宅は、室内の温度や湿度をコントロールしやすく、快適性に優れます。さらに、暖冷房の効率が良くなるため省エネにつながり、住宅の寿命にも大きく関わります。実際に、気密性能の高さ、つまり職人さんの施工技術の高さが、高断熱の実現度合いに大きく関係しています。
断熱材は空気を閉じ込めることで断熱性能を発揮しますが、壁の中を隙間風が通ってしまうと閉じ込めた空気が動き断熱性能が発揮できません。そのため気密部材で断熱材を覆い隙間風から守る必要があります。断熱だけを高めても断熱性能は発揮されません。断熱と気密はセットで考える必要があります。つまり断熱材をいくら厚くしても気密がとれていなければ、断熱性能が発揮されず暖かい家にならないのです。
高断熱・高気密住宅では、24時間換気で常に新鮮な空気を室内に取り入れることで、シックハウス症候群の原因となる化学物質は希釈され健康に過ごすことができます。この24時間換気を正常に稼働させるには「気密性能」が大きく関わってきます。24時間換気には給気口と排気口があり、家の形や間取りに合わせて効率的な換気ができるように換気経路が設計されます。しかし、この換気経路は気密性能の悪い家だと、設計通りの換気をしてくれません。下図の例では、C値(*)5.0㎠/㎡の家だと約17%程度しか換気の給気口から給気されておらず、残り83%は、家中の隙間から給気していることになります。これでは住宅のいたる所の隙間から熱の出入りを許してしまい、せっかく設計した換気経路も計画通りの効果を得られません。24時間換気を正常に稼働させるためにも「気密性能の高さ」が必要不可欠といえます。
(*)C値
C値とは、建物全体の容積に対して「どれほど隙間の総量が存在するか」を示す指標です。C値が小さいほど「建物に対する隙間の総量が少ない=気密性が高い」と言えます。例えば、C値が「1平方cm/平方m」であれば、1平方mの建物面積あたり1平方cmの隙間が存在することを意味します。C値が高いと隙間が多くなるため、建物内外の空気の流入・流出量が増えて、エアコンや暖房の効果が外に逃げやすくなります。反対にC値が低ければ、室内の温度や湿度の変動が少なくなり、エネルギー効率の向上や住環境の安定などが期待できます。樹の家こころ舎では、C値0.5(cm²/m²)以下(日本の省エネルギー基準の10倍の気密性)を標準値として施工しています。C値0.5(cm²/m²)は、延床面積1平方mあたりの隙間面積の合計が0.5平方cmであることを意味し、高度な技術で施工された高気密性能の住宅で実証される最高レベルの気密性数値です。外部環境の変動による室内の温度や湿度の変動がほとんどないことが特徴で、冷暖房の効果を最大限に活かしエネルギーロスを極めて低い水準にすることを可能にしています。
住宅の気密性能とは、住宅の隙間をできる限り減らし室内の空気を屋外と分断する性能のことです。気密性能の高い住宅は室内の温度や湿度をコントロールしやすいため快適性に優れています。さらに暖冷房などで調整した室温を保ちやすく省エネにつながることに加え、住宅の寿命にも大きく関わります。
高気密住宅は外部からの不必要な空気の流入を抑えることで、室内の温度変化を最小限に抑えます。そのため暖房や冷房に必要なエネルギーが大幅に削減されます。例えば冬場に外気が室内に入り込むことが少なければ、暖房器具を低い温度設定で運用するだけで温かい室内環境の維持ができます。また気密性能は断熱材の効果を最大限に活かします。壁や天井、床などに施された断熱材が室内の温度を一定に保つのを助けるためエネルギーの無駄遣いを防ぎます。このように気密性能によるエネルギー使用の効率化が、光熱費の削減につながります。
気密性能が高いと、建物全体の換気をコントロールできます。生活によって室内にこもった匂いや二酸化炭素、その他の体によくない物質を換気によって効率よく建物外へと排出することで、室内の空気をよい状態に保てます。逆に気密性能が低いと隙間から空気が漏れてしまい、効率よい換気ができません。
高い断熱性能で屋内外の熱移動を少なくしても、気密性能が低ければ隙間から屋内外への空気の流出入によって断熱性能の効果は薄くなります。気密性能と断熱性能の両方がそろってこそそれぞれのメリットが生き室内の快適性を保つことにつながります。
気密性能が低いと、梅雨を含めた夏の時期には屋外から湿気が侵入しやすくなります。屋内の湿度は高すぎるとカビやダニが発生する原因にもなります。気密性能の高い住宅は外気の影響を受けにくく湿気を遮断することができるため、快適な湿度が保てます。
冬の乾燥した外気と比べ、家の中は湿気が大量に発生しています。そのため、外壁や床などの隙間があると隙間から湿気が壁内に流れ込んで壁の中で結露して柱を腐らせ、壁の中の腐朽菌を増やしてしまいます。気密性能の低い家では、湿度のコントロールが十分にできません。夏場は外の多湿な空気が侵入し家の中でも蒸し暑く、冬場は室内の最適な湿度が外に逃げていきます。夏場、冬場に室内と室外を行ったり来たりする湿気は壁内で結露をおこし構造材にダメージを与えてしまうので、家の腐敗を防ぐためには、家の隙間を可能な限り少なくすることが必要です。結露を防ぐことは、快適さだけではなく住宅の劣化を防ぎ建物の耐久性を保持するためにも重要です。
めまいや失神、心筋梗塞などを引き起こすヒートショックは、主に急激な温度差が原因で起きます。暖房で暖められた部屋と、廊下やトイレ、脱衣所などの部屋間の室温の温度差が大きくなりやすい冬場は特に注意が必要です。気密性能の高い住宅はこの温度差が少ないため、ヒートショックのリスクを減らすことにもつながります。
昨今では大陸から流れてくる黄砂やPM2.5、一年を通して飛散する花粉など健康被害の原因になる有害物質が年々増加しています。気密性能の低い隙間の多い家では、換気口にフィルターを付けても隙間から汚染物質が室内に侵入してしまいます。気密性能が高ければこれらの大気汚染物質は屋内に入りにくくなります。その上で屋内の換気をしっかりコントロールすることで室内の空気をよい状態に保つことができます。
気密性能の高い住宅は、隙間が少ないことに加え、敷き詰められた断熱材が音を吸収するため、屋内の音が外に漏れにくく、屋外の騒音や近隣の生活音も入りくくなります。気密性能を高くすることで遮音性や防音効果にも期待できます。
基礎から気密性能にこだわった住宅は、隙間が少なく外気の影響を受けにくいため、床や足元の空気が冷えにくくなります。そのため暖房を効率よく効かせることができ足元から暖かく過ごすことができます。
断熱性を上げることは、断熱材の厚みを厚くするか断熱材の熱伝導率を下げることで比較的容易に実現できます。また、断熱性能は施工精度を図るような現場の実測検査というものが確立されておらず、一般的には建材の設計仕様から計算された数値を断熱性としています。
一方、気密性は完成してからでは手直しができないため、必ず現場の職人の技術力、そして狂いの少ない高い施工精度 (*)が必要となります。施工技術の良し悪しにより実際の性能に大きな差が生じます。施工不良の箇所があると室内外の空気の出入りが多くなり、(ほぼ密閉された状態に比べ)建物の性能が低下してしまうためです。つまり高い気密性を実現するためには、通常よりも多くの専用部材と、隙間ない丁寧な施工を行うためにより多くの施工時間、少しの空気も漏らさない高水準の施工能力(技術力の高い(単価の高い)職人の投入)が不可欠です。こうした職人の手の技術力や施工精度が求められる作業は、プレハブ施工やRC流し込みのような職人の手仕事に頼らない効率的工法を得意とするハウスメーカーなどでは対応が難しい面かと思われます。手間やコストはかかりますが、職人力を伴うこうした高い要求品質で快適な住宅をご提供することが、私たち樹の家こころ舎のミッションであり、またこれを実現し続ける当社の施工技術力の自信の表れでもあります。
(*) 気密化は職人の技術力と高い施工精度に掛かっています
「隙間を無くせば気密性能はアップする」と言葉でいうのは簡単。しかしながら木造住宅の建築は、木材を中心とした各部材を組み上げていく作り方のため「隙間」はあらゆるところに生じます。気密性能を高めるためにはこれらを全て潰していくことが必要となります。具体的には寸法誤差の少ない高品質建材を使用し、建材と建材の接合部分を気密シートや気密テープなどで隙間なく施工していくのですが、住宅はとても大きなもの。その中で見えるか見えないかの隙間を無くしていくのは想像以上に地味で困難な作業です。またその作業は、職人の手仕事によるところが大きく、各々の仕事の丁寧さに、計画どおりの気密性能が発揮できるかどうかが掛かっています。
樹の家こころ舎では、高い気密性能となるC値0.5㎤/㎥の標準仕様を実現するため、当社の現場では、職人たちは常に最良の施工方法を確認し合いながら施工を行います。現場監督はこうした高い能力を持つ職人たちをまとめ上げ、細部のチェック、施工状況、進行状況を責任をもって管理・確認しています。職人たちの施工に万が一抜けや漏れがあったとしても、その場ですぐに対応できる万全の体制を整えています。
樹の家こころ舎では、お客様に信頼と安心感を提供するため、全棟で気密測定を実施しています。特に開口部の隙間や空気漏れがないか細かに確認を行った上で、第三者専門測定会社に委託し気密測定を行います。
気密測定は、具体的には機器で室内の空気を抜いていき気圧量を測定します。隙間が少ないほど外から入ってくる空気量が少なくなり室内の気圧も下がっていきます。この室内の気圧と屋外の気圧の差によって、隙間量(C値)を算出します。気密測定は測定の結果次第で改善できるよう、完成後ではなくその前の断熱施工‧気密施工後のタイミングで行われるのが一般的です。
高断熱・高気密な家に必要不可欠なのが計画的な換気です。換気は、室内に新鮮な空気を供給し健康で快適な室内空間を実現します。人やペットから排出される二酸化炭素や建材や家具などから出る汚染物質、臭いなどはどうしても室内に留まります。その汚染された空気を外部に排出し、室内を良好な空気環境に保つことが重要です。
2003年の建築基準法改正以降、全ての住宅に「24時間換気システム(*)」の設置が義務付けられています。樹の家こころ舎では、排気熱を給気に無駄なく再利用する熱交換式(外気温を室温に近づけることで冷暖房費の削減、快適性向上を図る換気方法)の「24時間熱交換換気システム(第一種換気)」採用し、換気を行いながら1年中快適な室内環境を実現しています。
熱交換換気とは屋外に排出する汚れた空気(排気)から熱を回収し、新鮮な外気を室内に取り入れる(給気)時に、その熱を再利用する換気方法のこと。外気温を室温に近づけてから室内に給気するため、冷暖房費の削減、快適性向上が期待できる画期的な換気方法です。経済的、省エネ、清潔・快適で人にも優しい高性能な換気方法といえます。
例えば熱交換率が90%の場合、
冬/外気温0℃・室温20℃の場合:外気は0℃のままではなく、18℃程度まで温まってから室内に給気されます。
夏/外気温30℃・室温20℃の場合:外気は30℃のままではなく、21℃程度まで下がってから室内に給気されます。
(*)24時間換気システム
24時間換気システムとは、24時間、自動的に常に外気を取り入れ、室内の空気を排出する(住まいの空気を入れ替える)仕組みを指します。機械ファンを使った「機械換気(**)」により、強制的に空気を入れ替え、循環させることで、1時間に部屋の空気の半分以上が入れ替わる仕組みにです。日本では2003年の改正建築基準法により、住宅やオフィス、学校などすべての建築物に24時間換気システムの設置が義務付けられています。(現代の住宅は、気密性が高く、断熱効果が高いといったメリットがある反面、換気がされにくいというデメリットがあります。それにより、建材や家具に使われている化学物質やカビやダニなどが原因となり、シックハウス症候群などの健康被害が懸念されるようになりました。その対策として建築基準法が改正され「24時間換気システム」の導入が義務付けられたという背景があります。)
(**)機械換気
2換気扇(ファン)等の機械を使って換気する方法です。住宅の高断熱・高気密化やシックハウス対策の流れを受け、2003年に24時間機械換気が義務化されました。給気(入口)、排気(出口)をそれぞれ機械を使うか使わないかの組み合わせで、3種類あります(下図参照)。住宅では主に第1種と第3種が採用されています。第1種機械換気は、換気性を高め、人体に悪影響を受けず快適な生活を過ごすことができます。第3種機械換気はキッチンやトイレ、浴室などに採用され、匂いや湿気を直接屋外に排気して他の部屋にまわらないようします。(なお、第2種機械換気は、手術室やクリーンルームなどに採用される手法です。)
第1種換気
給気口・排気口の両方にファンを取り付けることで給気と排気の両方を強制的に行う方法です。機械で計画的に換気を行うため、安定的で正確な換気を行うことができます。さらに熱交換システムの導入により、室内の空気の温度を利用して外気の温度との差を緩和させてから取り込むことができます。つまり、夏は排出する室内の冷えた空気を活用して外の熱い空気を冷やしてから室内に取り込み、冬は外の冷えた空気を暖かくしてから取り込みます。これにより室内の温度は外気温に影響されることなく一定の温度を保ことができます。
第2種換気
給気口にのみファンを取り付けて、給気を強制的に行う方法です。排気の力よりも給気の力の方が強いので、室内の気圧が高くなり窓を開けても外から有害物質が入りにくいというメリットがあります。しかし、排気の力の方が弱いことで室内に湿気がたまりやすく、結露が発生しやすいというデメリットがあります。
第3種換気
排気口にのみファンを取り付けて、排気を強制的に行う方法です。全ての部屋に給気口が必要となりますが、第1種換気よりコストが低く、第2種換気より湿気が溜まりにくいというメリットがあります。しかし、熱交換システムに対応していないため給気口の近くは「夏は暑く冬は寒い」というデメリットがあります。
私たちが考える住宅性能に関してのあるべき姿