目次 _ 耐震等級と安全性
- 01_ 家族の安全と命を守る
- 02_ 最高ランク耐震等級3の耐震性能
- 03_ 耐震等級3の取得メリット
- 04_ 全棟構造計算-三次元立体解析
- 05_ 環境保全型地盤改良-HySPEED工法
目次 _ 耐震等級と安全性
家は、家族の安全と命を守る存在でなければいけません。
日本という風土の中で家が果たす役割は、自然災害から家族を守ること。世界的に見ても地震が頻発する地震大国と呼ばれる我が国で、どのような技術であれば家族の安全が守られるのか?また、安全で頑丈な造りであれば何を使用しても良いという訳にもいきません。家族の健康を支えながら、安心して安全に住める家づくりをすることが大切です。
2016年4月14日、熊本県・大分県を襲った最大震度7・M7.3(阪神淡路大震災と同規模)の熊本地震はまだ記憶に新しくあります。近年は熊本地震、2024年元日の能登半島地震のように震度6・7級クラスの地震が頻発するという、観測史上経験の無い地震が続いています。
2024年8月8日には、宮崎県(日向灘震源)で震度6弱の揺れを観測するマグニチュード7.1の大きな地震があり、宮崎港で最大で50センチの津波を観測しました。この地震で気象庁は、今後30年の間に発生する確率は70%(マグニチュード7~8)と言われてきた「南海トラフ地震」の想定震源域での大規模地震の発生する可能性が高まったとして、2019年の対策運用開始以来初めてとなる「臨時情報」が出されました。大分県においては非常に気がかりな情報です。また、自然災害は地震ばかりではなく、大型台風や竜巻も頻発しています。
こうした地震大国の日本で、どのような「家」であれば自然災害から家族の安全と命が守られるのか?ご家族や大切な財産を守るために、十分な耐震性を確保した家づくりと、災害への備えをさまざまな角度から考え行うことが求められています。
住宅の耐震性能は、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって、さまざまな住宅の性能品質を客観的に評価するしくみとして「住宅性能表示制度」が制定され、その中に住宅の性能を表す一つの基準として「耐震等級(*)」がつくられました。「住宅性能表示制度」では、第三者機関が設計や工事をチェックし、耐震等級や耐火等級などを「住宅性能評価書」に記載することが義務付けられています。耐震等級とは「構造躯体の強度 - 建物がどのくらいの地震に耐えられるか?」の目安になる指標で、地震が起きたときの強さについて、等級1~3の数字で示しています。地震の被害に見舞われることが多い日本では、家を建てる際に、必要不可欠な評価基準です。
樹の家こころ舎では、構造安全の信憑性が最も高いといわれる「許容応力度計算」による構造計算を標準で全棟に実施し、災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署や警察省などと同等の「耐震等級」の最も高い「3」をクリア。より安全性の高い住まい(震度7の地震がきても倒壊しない家づくり)を実現しています。
(*)耐震等級
現在、耐震性の指標として幅広く用いられているのが「耐震等級」です。耐震等級は、2000年施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」耐震性能を等級1から等級3まで3段階に分けて表した耐震性の判断基準です。等級1は、建築基準法レベルの耐震性能を満たす水準で、これ以下は危険というぎりぎりの耐震性能です。災害後に住み続けることは困難で、ほとんどが建替えや住替えが必要となります。等級2は等級1の1.25倍、等級3は等級1の1.5倍の強さがあります(定義)。
耐震等級1
耐震等級1は、建築基準法で定められている最低限の耐震性能を満たす水準 いわゆる「新耐震基準」。
・数百年に一度程度の地震(震度6強から7程度=阪神・淡路大震災や2016年4月に発生した熊本地震クラスの揺れ)に対しても倒壊や崩壊しない
・数十年に一度発生する地震(震度5程度)は住宅が損傷しない程度
※留意点:
「新耐震基準」の「震度6強から7程度に対しても倒壊や崩壊しない」の文言は、「倒壊はしないが、一定の損傷を受けることは許容」という意味であり、耐震等級1でも基準法ぎりぎりの建築では、震度6~7程度の地震に対して損傷を受ける可能性が高く、損傷程度によっては建て替えが必要になる可能性もあります。
耐震等級2
耐震等級1の、1.25倍の地震に耐えられる性能・耐震強度の水準です。「長期優良住宅」では、耐震等級2以上が認定の条件です。また災害時の避難所として指定される学校などの公共施設は、耐震等級2以上の強度を持つことを必須としています。
耐震等級3
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられるだけの性能・耐震強度水準です。災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署は、多くが耐震等級3で建設されています。住宅性能表示制度で定められた耐震性の中でも最も高いレベルで、一度大きな地震を受けてもダメージが少ないため、地震後も住み続けられ、大きな余震が来てもより安全です。震度7の揺れが、立て続けに2回起こった熊本地震では、1度目は耐えたが2度目の地震で倒壊した住宅も多数あった中、耐震等級3の住宅は2度の震度7に耐えていたことが調査によって明らかになっています。
耐震等級3の家は、耐震等級1や2の家と比較すると、地震によって受けるダメージが小さいのが最大のメリットです。例えば震度6強程度の地震が起きた場合、耐震等級1では倒壊や崩落を防いで命を守ることはできても、建物の損傷が大きければ建て替えが必要になるか可能性も高くなります。耐震等級3の家では損傷が小さくてすむことで、そのまま住み続けられる可能性が高くなり、資産としての維持もしやすくなります。災害時に避難生活を送るリスクを減らせることは、家族の不安の軽減、メンタルの安定にもつながります。
地震保険は、地震や津波などの自然災害によって被災した場合に、建物や家財の損害を補償してくれる保険です。地震保険は耐震等級に応じて割引が受けられます。割引率は耐震等級1では10%、等級2では30%ですが、耐震等級3の建物は、地震保険の保険料の割引率が最大50%と大きくなるのが特徴です。
金融機関のなかには、耐震等級3の家に対して金利を優遇する会社も少なくありません。低い金利で住宅ローンを借りられるのも、耐震等級3で家を建てるメリットです。例えば住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35Sの金利Aプラン」を選択すると、初めての10年間において通常の金利から0.25%引き下げが適用されます。
耐震等級3の認定を受けた家は、耐震性の高さが証明されているため、資産価値が評価され、リセールバリューの向上にもつながっています。
樹の家こころ舎では、構造計算を全棟で行なっています。構造計算とは実際に設計された住宅をコンピューター上で地震の揺れなどを与えシミュレーションすることで、住宅のどの部分の構造がダメージを受けるかの確認を行い、簡易的な壁量計算による構造計算では見えないリスクをしっかり把握します。構造計算にはより精度が高い、許容応力度計算による「三次元立体解析」を標準として用いています。
建物が地震や強風を受けたときに、どう揺れるのか、各部にどのように力がかかるのかを見るには平面(二次元)で計算します。建物は形、大きさ、材料が一つひとつ違います、また吹き抜けや中二階があったりと複雑な形状をしている設計では、二次元解析では細かく分析しきれない部分が出てきます。
樹の家こころ舎で用いている構造計算「三次元立体解析」では、建物にかかる地震力を3Dでシミュレーションし、建物を揺らすなど実際に地震が起こったときに近い形で建物の安全性を検証することが可能で、複雑な形状で、形・大きさ・材料も違う建物が、地震や風でどのように揺れるか、部材一つ一つにかかる力をシミュレーションし安全性が担保できるまで分析・検討を重ねていきます。これにより、二次元では擬似的に解析するしかない部分も精密に解析でき、その精度から「耐震等級3」以上を担保しています。また、この解析精度は、安全性を確保しながら、弊社自慢の設計デザインの自由度をさらに広げることにもつながっています。
図のように、同じ耐震等級でも、構造計算の方法(精度)により実際の強度ランクにかなりの差が生じます。樹の家こころ舎では「三次元立体解析」を採用していますので、耐震等級3でも最高レベルの(建築基準法耐震等級1レベルに対し)2.5倍近くの強度を実現しています。
地盤改良とは、建物などを地盤上に構築するにあたり、地盤沈下・不同沈下の影響が及びにくくするため、地盤に人工的な改良を加え安定性を保つために行なう工事のことです。樹の家こころ舎では、基礎地盤の改良工法として、セメントなどの固結材を一切使わずに天然砕石のみを材料に使用した環境に優しい天然砕石パイル工法の「HySPEED工法」を採用しています。
地盤改良工法「HySPEED工法」は、セメントなどの固結材を一切使わずに、砕石という天然素材だけを利用して軟弱地盤を改良する工法です。固結材(セメント・石灰)などの化学反応を利用した工法ではなく、天然素材を使用することで、土壌・地下水などの汚染の心配がなく、建替えの際に撤去する必要がなく撤去費用がかからないため、トータルコストの減少にもつながります。地震などの災害面にも強く、砕石はせん断に対して追随するかたちで衝撃を流すため、破損が起こりません。液状化被害を低減する効果もあり、過去の震災時には不同沈下の被害が少なく済んでいる実績もあります。安心・安全に特化した地盤改良工法で建物資産を守ります。
100年に一度の大雨と、大地震を想定した強度があります。十勝沖地震(震度6.4)や阪神大震災(震度7)でも、岸壁で大きな被害が発生しましたが、砕石を使った地盤改良では大きな被害はなく、 現在の地盤改良工法の中では最適とされています。地震の時、家の揺れ方と地盤の揺れ方に違いがあり、杭はその変化に耐えられないこともあるが、 砕石パイルはもともと固まっていないため、地盤の揺れに追随して、地震の揺れによる強度低下をやわらげる効果があります。間隙水圧を消散しながら、砕石パイルとその周辺の圧密効果により液状化を抑制します。東日本大震災の際には多くのエリアで液状化被害が発生しましたが、HySPEED工法施工済みの建物は、周辺の建物と比較して傾きが平均10分の1以下に抑えられたという実績もあります。
私たちが考える住宅性能に関してのあるべき姿